グラッチェ 会の記録


神奈川横浜を中心に、春山・夏山・秋山・冬山、すべての山で活動している山岳会です。
教育山行ももりだくさんです。ただいまメンバー募集中。

http://ocha-time.xsrv.jp

2016年3月31日木曜日

3月の山行記録

3月報告

3/5湯河原幕岩(1+他)
3/5-6八ヶ岳・硫黄岳(1+他)
3/12横岳・杣添尾根(1+他)
3/12-13薬師岳(3+他)
3/13鳥場山(1+他)
3/20-21空木岳(合宿)(6)
3/20天城山(1+他)
3/21城山(1+他)
3/26赤岳・天狗尾根(1)
3/27天王岩(1+他)
3/26-27唐松岳(2+他)






2016年3月26日土曜日

赤岳 天狗尾根

【日程】 2016/3/26
【場所】 赤岳 天狗尾根
【メンバー】 こうの(単独)
【形態】 個人山行(積雪期・バリエーション)
【天候】 晴時々曇り
【行程】 日帰り (10時間35分)
美し森駐車場[5:30]起床[6:10]--[7:50]出合小屋(登攀具付)[8:20]--[10:25]カニのハサミ--[11:05]ルンゼ上--[11:55]巻きルート基部--[12:20]天狗尾根終了点(稜線)[12:45]--[12:56]真教寺尾根へのトラバース地点--[13:10]真教寺尾根合流--[15:55]賽の河原(リフト終点)--[16:45]美し森駐車場

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3年ぶりかな、天狗尾根に入るのは。
パートナーがいなくなって単独なんでちょっと気が引けて止めようか思案してたんだが、天気も良さげだし、これまでに3回ほど入ってルートも把握してるんで気を取り直していってきました。


出発が予定より1時間ほど遅れたけど、会の下山管理によろしく頼むと告げて前泊地の美し森へ。
途中の山中湖辺りでは雪が降ってたくらいで、この時期にしては寒い車中泊。5:30に起きるのがツラいが空は雲が切れだしてるので、予報通りの晴れを期待して急ぎ準備をして林道に歩み出る。


一人の山行はいつ以来だろうか。バリエーションなんでそれなりの不安もあるけど、でも一人で入る時間的な優位性や自分の技量を確かめる機会にもなるため、出だしから陰鬱さはあまりない。


過去に歩いた思いを巡らせながら路面にうっすらと昨晩の雪が残る林道を進んでゆくと、朝日を浴びる権現岳が見えて更にテンションが上がる。今週は俺が一番のり。というか他にいないかも...。

林道終点からの堰堤を越えた先はトレースを外すとひざ下くらい潜るが、幸いな事に堅い踏み跡があり、軽い渡渉2回で雪が少ない出合小屋へ。
ロープをザックの上部に収め、とりあえずハーネスと数本のヌンチャクを身に付ける。
男性一人女性三人のパーティーが到着し挨拶を交わす。権現東稜との事。
やはり今日は天狗尾根貸切っぽい不安と期待を入り交えて取り付きへ。

 


先週の豪雨で雪が削り取られている沢沿いを暫し進み、テープのある2本目のルンゼから尾根に上がる。笹が出ているが雪は締まり途切れずに付いているので、予想より楽に出る事ができた。
先週はそれなりのパーティーが入ったようで尾根上にも堅い踏み跡が残っている。トレースを追いながら樹林帯を約二時間で抜けてカニのハサミへ。



 


 樹林越し左手にはツルネ東稜・旭東稜が見える。青空をバックに雲が稜線に絡む構図がいかにも感を醸し出してるなぁーとか勝手にモチを上げたりする。













 森林限界を超えるとカニのハサミが見えてくる。
 
ここからは岩稜帯。
ようやく天狗尾根、といった感じ。

 




まずはカニのハサミ基部を左に巻く。
アタック装備だと苦なく通過できるが、今回はなぜかフル装備のため張り出た岩に銀マットが引っ掛かかり両手を付いてアホな体勢で通過する羽目に。通過後、ふと恥ずかしくなり後ろを振り返り誰も見ていない事を確認して一安心。






カニのハサミの上の草付帯は雪がほぼない状態。登高ラインを探して中央から左に抜ける。といってもがっちりした手も足もあるⅢ級-程度。
 
その先の岩壁は基部を右にトラバースしてルンゼを登る一般的なルート取り。15mほどのトラバースは雪がない。PASをFIXに掛けてルンゼ下まで行くがトラバース路も雪がないと緊張する。途中、ルンゼに雪がないと泥だらけになるからいやだなぁーとか余計な詮索をしてる容易さではないグレードって言えば通じるかな。



 ルンゼ下で見る限り雪は途切れずに付いてる。あとは雪質。
2mほどダガーで様子を見るがしっかりピックが掛かるので登高を継続する。しかし中間部以降は日が当たり雪が緩んできた。ほんの1cm弱程度の沈み込みなのだが気持ち的には安心できずに緊張する。さすがに途中で写真が撮れなかった。

ルンゼを抜けた先の岩場も左に巻かずに尾根を通す。ここも雪がなく3級程度の岩場なのだが、ルンゼでの緊張でちょっと疲れ気味。





 続く、ニセ天狗(大天狗手前の岩峰)は雪面を右に巻く。中間部で一段上がる箇所は中途半端に雪が付くと意外にコワいのだが今回は雪がなく岩が露出してる。なるほどなるほどこんなカンジなんだと感心しながら通過。


















そして核心(って他にもあったんだけど...)の大天狗。
つーか、早く終わらせたい気持ちでいっぱいなので直登なんて微塵も考えずに右巻きのルートに向かい雪面を進む。

 基部でルートを確かめて取り付く。サクサク(慎重にだが)と登るが、最後2-3手ほどは立気味で強引に乗り越す感が漂う。

見た目はガバが3-4ヶ所程度見受けられる。ひとまずホールドを確かめつつ左に2歩上がり、右に抜けようとしたが、足はステミングで前爪程度のホールドだしザックの重さでバランスが悪く右のガバを取る勇気がでない。

手も疲れてきたのでいったんクライムダウンしてホールドの順番を思案する。オブザベーションといった処か(笑

再トライで抜けてほぼ難所は完了。帰りたくなってきた。





残す小天狗は気持ち左側面から登る。雪がなくガレと草付を縫い、最後の雪稜をひと登りで稜線に合流し天狗尾根の終了。
 
 周りを見ると俺の場所だけガスが抜けて青空状態。






  

















終了点は12:20。想定時間を大幅に短縮して稜線に合流して終了。
会に天狗尾根を抜けた旨をメールし、一本入れたのちに重荷登攀でちょっと疲れ気味だが幕営予定の真教寺尾根分岐に向けて稜線を登る。終了点から下見した感じだと分岐まで登らずに稜線途中からルンゼをトラバースして真教寺尾根に合流できそうな雰囲気。


稜線を登りながら、竜頭峰から落ちるルンゼだし気温も上がってきたので雪の状態を確かめつつルンゼに分けるタイミングを計る。見当をつけた真教寺尾根分岐より50mほど下の雪面からトラバースして上部クサリ場下に合流。分岐まで行かずに済んでよかった(^^




真教寺に合流し、暖かな日差しを受けながら傾斜の落ちた雪面で休止。
かなり疲れているので予定通り幕営してもいいんだけど、日差しが当たっているのはここだけ。今日はずっと俺の場所だけ晴れてた。

今(13:00過ぎ)から幕営しても夜中に目が覚めるのは必至だし、水作ったり明日の撤収も考えると面倒が大嫌いな俺は気が引けて思案に埋まる。
歩きながら考えようと真教示尾根の下降を始めるけど、尾根に泊まりたい・寂しいんでイヤの葛藤を続けて結局下山しちゃいました。

スキー場リフトトップ から思った以上に長かったのは地図読みしなかったからと反省。まだ未練が残る真教示尾根を振り返ると八ヶ岳はガスの中。結果的に自分への言い訳ができたと勝手に解釈し、会に下山のメールを打診。疲れました。






今まで毎年一回程度は計画していたのですが、今回が初めてのバリエーションの単独山行でした。

やはり終始緊張から解放されません。何かあった場合を考えると当然なのですが、それでも気の緩みを自覚し気持ちを入れ直す場面もありました。


天狗尾根は特に難しいパートはない(初心者に向けて簡単という意味ではありません)のですが、冬季特有の悪い部分は随所にあります。

一人でサクサク抜ける快適さを存分に味わえますが、一人で幕営する寂しさに耐えきれないので今後は日帰りのみにしておきます。






2016年3月20日日曜日

空木岳

【日程】 2016/3/20~21
【場所】 空木岳(池山尾根ピストン)
【メンバー】 こうの・きった・まる・もろた・ゆうこ・ふくだ
【形態】 会山行(積雪期・バリエーション)
【天候】 快晴
【行程】
3/20 5:00道の駅いいじま出発-6:30駒ヶ根スキー場-池山小屋-9:20ヨナ沢ノ頭分岐-15:45駒石(幕営)
3/21 4:30起床-5:00出発-駒石-6:15駒峰ヒュッテ前-7:00空木岳山頂-8:30幕営地-(撤収)-9:30出発-11:30ヨナ沢ノ頭分岐-14:00駒ヶ根スキー場-(立ち寄り湯)-帰路
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3月の鹿島槍合宿の予定が天候不良に伴い、中央アルプスの空木岳に転進することとなりました。
駒ヶ根スキー場より入山。出発時は天候も良く汗が滴りますが、高度を上げるにつれ雪が出始めてきました。
 

凍結している部分も出始め、ヨナ沢の頭分岐で前のパーティーと合流しました。
私たちは6人パーティーで、大型テントを張る為、更に上部での幕営適地を探しながら進みます。
 

 

今年は雪が少ないせいか、岩の露出部分が多かったり、雪質が悪かったりと難儀しながら前進します。
当初予定していた場所よりやや下側にてテントを張ることとし、本日の寝床を整え、明日に備えます。
2日目はまだ暗い中身支度を整え出発です。前パーティーのテント脇を通ると、中から挨拶が。挨拶を交わし、山頂を目指します。
5:30頃より日の出による明るさが増してきて、5:58に日の出を見ることができました。その数秒後、真っ白い雪山がピンク色に染まり、更に感動の一瞬が目の前に広がりました。 
山頂周辺はやや風がありそうだが、雲一つない青空が広がっています。
早く山頂へ到着したい気持ちと、なかなか近づかないもどかしさを抑えながら、一歩一歩、進みます。
この先が無い!と見えた瞬間、山頂に到着です。そこは小さな山頂でしたが、360度のパノラマと風に削られた雪面がどこまでも続いている様な不思議な感覚でした。
写真を撮り、下山開始です。幕営道具を撤収し、往路を引き返します。
雪面のトラバースなどもあり、難儀した箇所を引き返しますが、やはり難儀しました。
休憩や景色をみつつ、駐車場へ無事戻り帰路につきました。


穏やかな雪山、賑やかな仲間、言葉にならない程の景色に感動しました。とはいえ、、、、バリエーションルートを踏破できたのは、やはり仲間がいてくれたお陰です。