グラッチェ 会の記録


神奈川横浜を中心に、春山・夏山・秋山・冬山、すべての山で活動している山岳会です。
教育山行ももりだくさんです。ただいまメンバー募集中。

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2017年7月30日日曜日

稲子岳南壁 中央フェース 左ダイレクト(たぶん)・スプーンカット(仮称)


【日程】 2017/7/29-30
【場所】 稲子岳 南壁
         ・ 左ダイレクト(4P:Ⅳ級- 45m/Ⅲ級+ 45m/Ⅴ級 40m/Ⅲ級 25m)
         ・ スプーンカット凹角(1P:Ⅴ級 またはⅣ級+A0 45m)
         ・ 翌日の左カンテは取り付きまでで、岩ヌルヌルで撤退
【構成】 ふくだ・こうの / やまぐち・ときこ
【形態】 アルパインクライミング
【天候】 曇り一時晴れのち雨
【行程】 稲子湯ゲート[5:00]--[6:20]しらびそ小屋(デポ)[6:40]--[7:25]南壁基部・周辺偵察
          --[8:25]無名凹角ルート・支点整備[9:30]--(懸垂支点整備・懸垂)--[10:10]基部
          --[10:50]左ダイレクトルート--[13:30]終了点[14:05]--[14:50]しらびそ小屋(小屋泊)

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快適なしらびそ小屋泊で稲子岳南壁の左ダイレクト(たぶん)とトポを見てもよくわからん無名なスプーンカット凹角(仮称)に入ってきました。

当初は梅雨明け10日の快適な夏山を満喫するために、グラッチェとしては稀少な烏帽子~船窪の夏山縦走を計画していたのですが、梅雨明けからの天候不順に翻弄されて計画をキャンセル、先週も雨で中止にした稲子に一縷の望みを託して代替しました。

このルートは南壁の中で左カンテ以外にフリーで抜けられる数少ないルートなんで数年前から気になっていたのですが、トポも出回らないマイナーで岩も脆いルートに好んで入ろうという奇特な人も少なく、密かな妄想のネタとして燻り続けていたルートでした。
グラッチェもそれなりにレベルアップしてきたので、この絶好の機会にとふくだをそそのかしてザイルを組ませちゃいました(笑

しかし、トポは登山大系とネット上の数少ない写真と記事のみ。入る前から良く分からなかったけど、残置はいたるところにあって入ってからもどこがどこだかまったくわかりませんでした(汗
トポにある岩小舎テラスとか上昇バンドとか以前に左ダイレクトのルート自体が正しいかどうかも判断できず。
左ダイレクトは、 1ピッチ目と1ピッチ目の終了点、3ピッチ目のクラックはそれなりに残置ハーケンを追えましたが、それ以外の3級程度のピッチはほぼノーピンをカムで補強しながら直上して山頂に抜けました。
(ネットの記事を正とすると俺らは中間部をちょっと左寄りに直上した模様)

最終ピッチは雨に降られ、登攀者が少なく地衣類に覆われた岩は一気にヌルヌル。石灰岩よりタチが悪くなりました。ご注意を。

これらは左カンテほど簡単ではありません。もろい岩や浮石の処理・ルーファイ・登攀力・支点構築技術・撤退の技術などなど、バリエーションとしてのいろいろな引き出しが要求されます。
メジャーな整備されたルートではない事を理解して入れば、きっと会心の一撃になると思います。

今回の追加装備:
カム:キャメロット #0.4~#3 1.5セット/ マイクロカム #1と#2
ハーケン:8本
ジャンピング:一式
アブミ:一式
捨て縄:数本




■ スプーンカット凹角



南壁中央フェースの全景
(上半部は写っていません)


無名スプーンカット凹角(仮称)45m Ⅴ級もしくはⅣ級+A0

凹状草付きからスプーンカット状フェースのクラック。
最上部灌木を左に抜けてガレの先のリングボルトとハーケン2枚でビレイ。
ビレイ点から6m程右にトラバースするとリングボルトとハーケン2枚の懸垂支点あり。
(オレンジのスリング)


一段上がったところから上を見上げる。
浮石や不安定な岩を落としたり移動させたりしながら登ります。



上部で左に抜けたところ。
かなりガレが堆積してます。

もともとあった残置だけど、銀のハーケンを触ると抜けました(笑

銀のハーケンを上部に移し、もう一枚ハーケンを残置してビレイ点を構築しました。

ロープアップでも落石します(ご注意

右に6mほどトラバースすると懸垂支点あり。
ここでもビレイ可能ですが、ガレが堆積してますので落石を落とすとフォロアーを直撃します。
ビレイ点は左、懸垂は右とした方が安全かと。

ネットで見かけた整備してくれた懸垂支点ですが、1mほどの岩が覆い被さってました。
支点整備した後にこの岩が落ちてきたんでしょう(汗

このままではスリングが岩角に干渉して切れたり岩自体が落ちてくる可能性があるので、
先人に感謝の意を表して再整備!  80%くらい安定してます(笑

核心部のスプーンカットなクラック部分。左右のフェースはツルツルです。
クラックはフレーク状にも使えるのでレイバック気味に。
残置もありますがマイクロカムやキャメが有効。




凹角の出だし部分。
足がえぐれてます。
下部のボロボロゾーンを除いて、
この核心部だけあれば楽しいのですが.....。


■ 左ダイレクト(たぶん)

1P目:ふくだ 45m Ⅳ級-
リングボルト2つ取り付きから草付きを左上。左リッジ基部クラックを抜けてハーケン3枚のビレイ点。(草付きを登り、右フェースの基部からクラック沿いにリッジに乗り上げるのが正解か?)

2P目:こうの 45m Ⅲ級+
右に出て階段状の大岩を縫ってテラス。更に一段上がった小リッジ上の岩角でビレイ。
ほぼ残置なし。

3P目:ふくだ 40m Ⅴ級
右に出て階段状から立木のある狭いバンド。
直後の傾斜のあるクラックを上部で右から抜けて棒状岩でビレイ。

4P目:こうの 25m Ⅲ級
正面の大岩を左に縫って南壁トップ。岩でビレイ。残置なし。


1P目の草付凹角を登るあの大谷さん。(屏風から転進してきたとか)
トポもなく左ダイレクトに取り付てます。


草付凹角から左フェースのクラックに移ってリッジに乗り上げました。


1P目ビレイ点
すでに現在地ロスト。
しかし、残置があるって事はここが左ダイレクトの正規ルートか?


ビレイ点から2P目の出だし。
まずは右に出てからⅢ級程度の階段状。
そのままリッジに出ても良かったのかも知れませんが、
その先が分からないため容易なルートを優先してます。


一段乗り上げるためにカム使用。
2P目の唯一の核心部Ⅲ級(笑


30m程伸ばすと庭園風の狭いテラス。

テラス上部の写真


テラスから右に上がって岩角でビレイ。
 この辺りに来ると浮石は谷川程度になり、ガレの堆積はあまりなくなります。


3P目の出だしも階段状を右上。
ここが上昇バンド?


狭いテラスを二つほど超えた先に立木のある狭いバンド。
その立木の左横のクラックを登ります。


ルート偵察でバンドを右に伝いましたが、
薄い藪状で見える先には面白そうなフェースやクラックはなし。
立木まで戻って継続。 
(ここがカラマツバンド)




ルート核心部のクラックから上部が被ったチムニー。
出だしが気持ち薄かぶりなのかちょっと右往左往してなんとかムーブを解決して離陸。
クラックの抜け口を微妙なバランスで抜けていきましたが、よく探すと良好なホールドあり。
チムニーは手前で右に出てフェースから越えます。
ここは残置もそれなりにあるしカムも使えます。
抜けた正面の棒状岩でビレイ。
ここのクラックが「直上ルート No.24~No.16(Ⅳ級A1)」

クラックを抜けたタイミングで本格的に雨が降り出し、岩がツルツルじゃなくてヌルヌル。
フェースのスメアが全く効きません。
ふくだにフルテンション貰いながら右に出たⅢ級のフェースをA0 してビレイ点へ(汗

いったん濡れてしまうと雨が止んでもヌルヌル状は解消しません。
地衣類も必死で生き抜いているってことですね。


4P目は正面の大岩を左に縫ってⅢ級程度を25mほど伸ばすと南壁トップ。

雨の中、ルートも定かではないので撤退も覚悟しながらその先を確認するために登ろうとしましたが乾いていれば簡単な岩もまったく登れる状態ではなくクライムダウン。
戦略を変えてカム2本でA0しながら左に出ると空が見える.....。
期待を胸に一段上がると、.....抜けたっ!!!

こんな場所に抜け出ました。


おれ。


しらびそ小屋でのリス


サーモン味のアボガドっ!


小屋の夕食。
最近流行の豪華なメニューではありませんが美味しいです。
素朴さの中にも山小屋からの気持ちがこめられているんでしょうね。




最後に。

左カンテもそうですが、終了点からコマクサの群生地を歩く事になります。
ここは柵によってコマクサの保護区になっていますので、
踏み跡が増えてくると南壁自体が登攀禁止になってしまう可能性もあると思います。

 他のルートにも簡単に取り付けるように、
可能なら南壁トップから基部まで降りられる懸垂ルートを整備したいと思案しています。
もしも、俺らより先に整備してくれた方がいられましたら、
是非グラッチェ(grazie_info@ocha-time.xsrv.jp)まで教えてください。
存分に使わさせて頂きます(^^

おわり。






木の又ボッカ VOL9

【日時】7月29日 8:00~12:00
【場所】丹沢表尾根 政次郎尾根(木の又小屋)
【構成】団長
【形態】荷揚げ
【天候】曇り
【行程】戸沢駐車場8:00-10:15 木の又小屋10:45-12:00戸沢駐車場

今回は一人でボッカでした。
荷物は氷と缶詰で計18kg
ガスっていて、湿度90%くらい?非常に蒸し暑かったです。
ただ、日差しがなかったのが、救いでした。

天気と時期的なものでしょうか。稜線や小屋のお客さんが少なく、閑散としていました。
夕方から雨の予報だったので、早々に下山しました。



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2017年7月24日月曜日

木の又ボッカ Vol.8


【日程】2017/7/22
【場所】丹沢表尾根 政次郎尾根(木の又小屋)
【構成】会長、団長、やーご、中村君、アーマー、ぐっさん
【形態】荷揚げ
【天候】晴れ/曇り
【行程】戸沢駐車場8:15-10:30木の又小屋12:15-13:15戸沢駐車場

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1ヵ月半ぶりのボッカでした。
中村君が1年半ぶりに復帰して、氷を荷揚げしました。
会長が久しぶりの荷揚げを行い足が攣り、アーマーが前日の寝不足から両足が攣り
いろいろあったボッカでした。

夏のボッカは、水分補給(1.5L)と塩飴が欠かせませんでした。

2017年7月15日土曜日

三つ峠合宿

【日程】2017/7/15-17
【場所】御坂山塊、三つ峠
【構成】7/15 ぐっさん、トッキー、やーご7/16ぐっさん、トッキー、会長、アーマー、やーご7/17ぐっさん、会長、アーマー、やーご
【形態】マルチゲレンデ合宿
【天候】晴れ、曇り
【行程】三つ峠裏駐車場-四季楽園小屋-三つ峠岩場-四季楽園小屋泊-三つ峠裏駐車場(15:道の駅富士吉田泊、16:四季楽園小屋泊)


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三連休、三つ峠合宿

15日 ぐっさん、やーご:草溝-V⁻クラック
    トッキー:地蔵右、地蔵左


16日 会長、アーマー、やーご:岳ルート、亀ルート
    ぐっさん、トッキー:中央カンテ、一般ルート中央

17日 会長、やーご
    ぐっさん、アーマー:観音右-ホットドック---権兵衛チムニー

ウチョウラン


2017年7月9日日曜日

L学 モロクボ沢実技講習

【日程】2017/7/9
【場所】西丹沢/モロクボ沢~滑棚沢~雷木沢左岸尾根
【構成】会長、団長、ぐっさん、トッキー、やーご、L学受講生
【形態】講習
【天候】晴
【行程】■7/8(土) 丹沢湖畔/千代ノ沢園地に集合・前泊
■7/9(日) 6:45発=西丹沢VC=用木沢出合 8:00出発-8:15モロクボ沢・白石沢二俣-700m塩地窪沢二俣(入渓)-9:00モロクボ沢大滝-10:00水晶沢二俣-11:00滑棚沢二俣-滑棚沢右俣-13:30東海自然歩道/蛇ケ口丸北側-14:15水晶沢ノ頭1278m-雷木沢左岸尾根-16:15モロクボ沢・白石沢二俣-用木沢出合=西丹沢VC=全体ミーティング

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L学モロクボ沢講習と言いつつメインは滑棚沢?
出発です!!


美しい滝が続きます。


ナメ滝( ^ω^)・・・


滝つぼで涼しい。快適♪


滑棚沢上部はなかなか荒れてます。



慎重に上ります。



ツメは急登。


下山は雷木沢左岸尾根を読図しつつ下降。
鹿柵に阻まれ具合がなかなかでした(笑)


いろいろ課題もあり勉強になりました。
が、沢は最高でした☆彡
またチャレンジしましょ~



2017年7月8日土曜日

三つ峠

【日程】2017/7/8
【場所】御坂山塊、三つ峠
【構成】アーマー、ぐっさん、トッキー、やーご
【形態】マルチゲレンデ
【天候】晴れ
【行程】三つ峠裏駐車場8:30-9:15四季楽園小屋-三つ峠岩場16:00-17:00三つ峠裏駐車場

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ぐっさん、トッキーと共に中央カンテ
アーマー、ぐっさん:奇数ピッチぐっさん、偶数ピッチアーマー
トッキー、やーご:1Pトッキー




サンショウバラ




2017年7月4日火曜日

マスキ嵐(下山)

【日程】2017/7/1
【場所】大滝沢 マスキ嵐沢
【構成】会長・アーマー・やーご・トッキー・団長・ぐっさん・こんちゃん(会員外)
【形態】沢登り
【天候】曇り 一時小雨
【行程】7/1 日帰り

マスキ嵐の後半は権現山の稜線から南西尾根を使って下山します。

下山のスタート時間が14時を過ぎていたのと、ガスっていたため視界が悪く周りの景色が殆ど見えない中で読図をする難しいバリエーションになりました。

権現山から下山する尾根を見つけるのが難しかったです。

この日は、雨が降ったりやんだりの繰り返しでしたが熱くなく丁度いい気温で、下山時にはガスが出て周りの視界が悪い中バリエーションルートを歩いて下山しました。


アーマー・・・CLおつかれさまでした!

ヤーゴ・・・SLおつかれさまでした!

 こんちゃん・・・滝つぼから見事な脱出でした


団長・・・初沢登り踏破!

トッキー・・・初沢登り踏破!
ぐっさん・・・初沢登り&初バリエーションルート踏破!

下山後はブナの湯によって一風呂浴びてから、三つ峠に向かう組(アーマー、ヤーゴ、トッキー)と帰宅組(会長、こんちゃん、団長、ぐっさん)に分かれて解散となりました。

沢靴を使った登攀、沢特有の岩のぬめり、スリングを使ったお助け紐、ロープを使った沢登り、下降はバリエーションルートを歩き、楽しい沢登りができました。

L学初級3人は翌週の沢実習に向けて、いい予行演習になったと思います。


2017年7月2日日曜日

マスキ嵐沢

【日程】2017/7/1
【場所】大滝沢 マスキ嵐沢
【構成】会長・アーマー・やーご・こんちゃん・トッキー・ぐっさん・団長
【形態】沢登り
【天候】曇り 一時小雨
【行程】7/1 日帰り

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Grazieでは珍しく?沢登にいってきました。
L学初級3人が沢登り未体験のため、翌週の沢実習の予習といったところでしょうか。
集合は新松田駅に7:20.これが始発ですね。
9:00に地図を片手に駐車場をスタートです。




沢登りは地図読みが必須ですね。
油断をするとすぐに自分の居所が分からなくなります。



ときおり、木陰から日が差してきて、幻想的な雰囲気です。



流れの中は、苔がなくて滑りにくいです。それでも、慎重に体重をかけながら、少しずつ登っていきます。






大きな滝や岩ではロープを出してもらいました。
アーマーさんによると、普段は出さないこともあるそうです。
これくらいの高さだと、結構怖いですよね。

早く慣れることが必要だと、思いました。



初級の3人です。
お揃いのシューズを履いています。




最後のほうの岩です。



ここを登れば、終了です。




地図読みをしつつ、ロープも出しながら登ってきたため、ここですでに13:00になっていました。
さらに、こちらの岩を登った後に、白いザレ地帯があるのですが、最近崩落したようで、稜線まででるのに大変苦労しました。
次に行かれる方は、お気を付けください。