会の説明

神奈川で活動している山岳会です。
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2017年8月19日土曜日

稲子岳南壁 中央フェース 右ダイレクト・左ダイレクト

【日程】 2017/8/19-20
【場所】 稲子岳 南壁 中央フェース
         ・ 左ダイレクト(5P:Ⅴ級-45m/Ⅳ級+45m/Ⅳ級+40m/Ⅴ級 20m/Ⅲ級 25m)
         ・ 右ダイレクト(1P:Ⅴ級 50m)
         * グレードは体感です。盛夏で凹角の雑草が多くホールドが隠れて見えない状態なので、
           春先だと多少はグレードが下がるかもしれません。
【構成】 やご・こうの
【形態】 アルパインクライミング
【天候】 晴れ時々曇り
【行程】 稲子湯ゲート[5:50]--[7:20]しらびそ小屋(デポ)[7:50]--[8:45]南壁基部・周辺偵察
          --[9:25]右ダイレクト・支点整備・懸垂--[11:00]基部--(取り付き整備)
          --[12:10]左ダイレクトルート--[15:40]終了点[16:10]--[17:00]しらびそ小屋(小屋泊)

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この夏は天候不順に悩まされてばかりでしたが、稲子にはめっぽう相性がよい俺。
今日も快晴とまではいかないまでも晴れてます。稲子岳だけぽっかり雲が抜けてる時間も多々ありました(笑

とまぁ再び稲子岳 南壁 中央フェースの各ルートの調査と整備。

今回は初回7月29日に達成できなかった以下の目的で入りました。
  ① 南壁 中央フェース 左ダイレクトの正規ルートの特定と整備。
  ② 左ダイレクトの隣接ルートの概要調査と整備。
  ③ 大テラス・上昇バンド・カラマツバンドなどの主要ポイントの特定。
  ④ 南壁トップからの下降ルートの整備。

諸事情により下降ルートの整備は手が回りませんでしたが、前回より具体的に左ダイレクトの全容が把握できてきました。
登山体系のトポだと最終ピッチはⅢ級を抜けるようですが、カラマツ横のクラックピッチを取り入れた方が間抜け感がなくて楽しめますので、グラッチェでは左ダイレクトのノーマルパターンとしてこのピッチ構成で紹介してゆきたいと思います。


中央フェース 全景




前回と今回、登った3ルート(基部は写ってません)
黄色ラインは巻きルートです。詳細は初回(7/29)のレポートをご覧ください。

自然崩壊が進んでいるためか、クラックが随所にあります。
ハーケンやマイクロカム#0-#2とキャメ#0.4-#3までをかなり頻繁に使う事ができます。
(クラックがあるからと言ってジャミングはワンポイント程度です)


小屋泊まりだし天気も良いのでぼちぼち中央フェースの基部に到着。
先ずはやごにどこ登るか考えろと言ったら右ダイレクトをリクエスト!?!
かー、右って上部でアブミ(A1)表記なんですよ。何十年前の残置にアブミ掛けさせるつもりなんでしょうか(>_<)。実は前回はトポを見てあえて避けていた右ダイレクトなのですが、調査も必要なので怯みを集中力(気持ち的に)に切り替えてテイクオフ。





『右ダイレクト 1P』

 1P Ⅴ級 50m 下部の左上する草付凹角から中間の台座状をハンドトラバースし、
                   薄被り気味の上部凹角を超えて中間バンドの残置にてビレイ。


下部凹角中間部の小ハングに運悪く夏草と灌木あり。枝と草をかき分けてホールドを探しながらの悪い乗越。(Ⅴ級、灌木がなければⅣ級+程度か?)
灌木を越えると台座。ここに乗り上がって立ってしまうとちょっとヤバい。
(バランス感覚が抜群ならやってみてください)
台座を越えると上部凹角で核心の薄被り。(正対ならⅤ級だが、ちゃんと探せばⅣ+級程度)
上部凹角は抜け口で小ハングってるが手足あり。(Ⅳ級+)


 さてと、行きますか。
1Pなのでザックはデポ。


 下部凹角中間部。


 潅木の乗っ越し中。


 これが台座。
手前にピッチを切れる残置があります。


 台座を越えて上部凹角へ
 
 抜け口



今回は下部1Pのみですが、今後は上に抜ける(左ダイレクトに合流する)ルートも見受けられますので、それなりの技量がある人が楽しめるマルチなルートを整備していければいいなぁと考えています。。

ビレイ点正面の壁。
前回支点に覆い被さってた岩はここから剥離したような。。。(汗

 そこそこの大きさのガレを纏めながら基部まで懸垂1P。
(石組み職人になってきた)


練習を兼ねて、右ダイレクト取り付きの右側にリングボルト1本打ってます。






『左ダイレクト 5P』

前回は初見のため安全を優先したルート選択でしたが、今回はチャレンジなパートを求めてルーファイし、グレード的に進化したピッチ構成になりました。


1P Ⅴ級- 45m 草付凹角をそのまま伸ばして、残置ハーケンでビレイ。
2P Ⅳ級+ 45m ビレイ点左上の凹角からカンテを右に越えて庭園風の大テラスまで。
                    岩角でビレイ。
3P Ⅳ級+ 40m 階段状の上昇バンドを右上してカラマツバンド下の右の凹角からバンドへ。
                    ピナクルでビレイ。
4P Ⅴ級  20m バンド左のカラマツ左側の垂直なクラックを登り、上部チムニーを右に出て
                    立木でビレイ。
5P Ⅲ級  30m 正面の大岩群を左に縫って南稜トップ(山頂)。潅木でビレイ。


左ダイレクト 1P目 Ⅴ級- 45m。
上部凹角抜け口で絶好のホールドとなる右の三角岩が動く。
これがふつーに使えればⅣ級+なのだが...。


お次は左ダイレクト。
ここは上に抜けますよ。


下部は浮石と草と枝との格闘。


このあたりは枝が煩い。


ここにも中間部にビレイ支点あり。


上部の凹角(チムニー)
ここが核心部です。草があってホールドを手探り。
クラックの奥は湿ってるし。
前回はここからスラブを左に出てクラックで巻きました。


ビレイ点から。


1P目のビレイ点。
抜けて放置されていたハーケンを打ち直して、
計4枚の残置ハーケンあり。


 2P目は左正面の凹角からハング部を右に乗っ越します。


 庭園風の大テラスでビレイ。


 3P目は大テラスから階段状の上昇バンドを右上。
カラマツバンド下の正面フェースは染み出しで撃退(>_<)
支点なしの右の凹角はちょっと湿って悪いけど行けそう。
中間部にカム2本で固めてカラマツバンドへ。


 このあたりはスラブ状


 右の凹角


 4P目はバンドを左にカラマツを越えて、クラックに取り付く。
(ビレイ点から )


横から見ると垂直に近いです。

 
 上部被ったチムニーは右に出てフェースから。
このフェースは抜け口がスラブなので意外に悪い。
(前回、ここで雨が降ってヌルヌルになったのでその時の先入観もあるのだけど.....)


5P目は正面の大岩を左に抜けて更に数段上がると南稜トップ。





--- 終了点(南稜トップ)から縦走路へのヒント ---

ザレの浅いルンゼを挟んだ左手に左カンテから縦走路に登る踏み跡があります。
コマクサ群生地を登るのは心痛むので、
ザレをトラバースして左カンテの踏み跡に合流するのを提案します。
 (次回は南陵トップから懸垂支点を整備する予定ですが.....。)



--- 再整備にあたって。---


先人が開拓した中央フェース。三つ峠のようなペツルがバリバリ打ってあるゲレンデではなく、クラッシックルートの緊張感と醍醐味を味わえるように従来のジャンピングで打ったハーケンやリングボルトのみで構成できれば良いなぁと想っています。
(ドリル持ってないってのが正直なところなんですが、滝谷の第四尾根や南稜フランケにペツルのハンガーがあったらちょっと興醒めですよね?!)

二回目の中央フェースなので、課題の大テラス・上昇バンド・カラマツバンドの位置関係はだいたい掴めてきました。しかし、まだまだ未開な部分が多々あり引き続き調査と整備は必要ですし、トポも見直したいと。

どのルートも下部は谷川 中央カンテの3倍くらい脆く浮石やガレの堆積があります。中央フェースの全容も分かっていませんので行き詰ってしまう可能性もあります。左カンテのような初心者向けのメジャーなルートではありませんが、それでも、もし間違って(笑)入ったなら、ぜひ整備しながら登ってみてください。その道中、こちらのレポートの間違い気付いたり、整備したり打ち直した支点や判明したルートがあれば教えてください。



【 ご注意:ヤマレコ族な方は危険ですので真似しない方がよろしいかと。いや、まじで(^_^; 】



前回のレポートにも書きましたが、Ⅳ級やⅤ級表記とデシマル表記の違いを理解していない方、グレード感のない方、不用意に落石を落とす方、整備されているルートしか行ったことのない方、連れて行って貰えるからフォロアーで行く方などには非常に危険なパートが多々あります。佐久山の会では推奨していないくらいです。もしこの記事をきっかけに入る方は危険地帯に入るそれなりの自覚を持って入ってください。事故のないことを祈ります。




おわり
(でもまだまだ稲子編は続きます。。。たぶん)




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